「お菓子です。わたくしがあまりに美味しそうに食べるから、王妃殿下が気を利かせて、あれもこれも持って行くように、と……」

 恥ずかしそうに頬を染めたマリアの可愛らしさに、レイノルドの母もノックアウトされたらしい。

「血は争えないねー。それとも、高嶺の花ちゃんって意外と人たらし?」
「わたくしが?」

 面白そうに首を突っ込んできたヘンリーに、マリアはきょとんとしている。
 すごく可愛い表情をしていることに、少しも気づいていない。
 レイノルドは、小さく息をついてマリアをヘンリーから引き剥がした。

「お茶の準備をしてくれ。スティルメイドあたりに、王妃と第二王子の恋人が和解したと噂を流すのも忘れるな」
「はいは~い。……王妃サマも、人が悪いね」