自白剤というものが、どこまで真実を暴けるのか知らない。
 だが、本当に起きたことだけを明るみにする薬なのだとしたら、マリアはレイノルドの看病のために付き添って、うっかり居眠りしてしまった事実しか口にしないはずだ。

「――素晴らしい度胸だわ。マリアヴェーラさん」

 王妃は、感服した様子で手を叩いた。

「安心してちょうだい。紅茶のどちらにも自白剤は入っていないわ。そもそも、私はね。レイノルドと貴方が一線を越えていても咎める気なんてなかったの。貴方ほど王子妃に相応しいご令嬢はいないわ」

「それでは、どうして試すような真似を?」
「貴方が、あの忌まわしい聖女に勝てるかどうか、見極めたかったのよ」
「忌まわしい……?」