そよそよと風が肌を撫でる。
 暑くも寒くもない心地良い空気感に、マリアはふっと目蓋を開けた。見慣れない天井が広がっていたので、小首を傾げる。

(ここは、どこかしら……?)

 朝日が差し込む窓を見ると、スツールに腰かけて腕を組んだレイノルドが、壁にもたれかかるように眠っていた。
 起き上がって駆け寄ろうとしたマリアは、布団に足を取られて転びかけた。

「きゃっ」

 傾いだ体を、ガシリと抱き止められる。

「いきなり起き上がるな。怪我でもしたらどうする」

 起き抜けに助けてくれたレイノルドは、マリアを持ち上げるようにして、ベッドに座らせる。