【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい

 深夜、目を覚ましたレイノルドは、ぼやけた視界に暗い天井を映して、長い長い息を吐いた。

 無理をしていた自覚はあるが、まさか倒れるなんて思わなかった。
 眠っている間、ひどい頭痛と倦怠感、やたらと可愛らしい夢に翻弄されたが、熱が下がったせいか楽になっている。

 窓枠の影が落ちる月光を浴びながら、濡れたタオルを手で押さえて起き上がる。
 足に重みを感じて見ると、ちょうど膝の辺りに突っ伏して眠るマリアの姿があった。片手で、レイノルドの手を握っている。

「あんた、なんで……」

 目を見開いたレイノルドは、小さく呟いて思い出す。
 夢の合間に、言葉を交わしたことを。

 マリアは、タオルを濡らして汗を拭ってくれた。このまま側にいてくれると思ったのに、急に帰りたそうに席を立ったから――。