【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい

 こんなとき、恋人にできることは、ただ一つ。

 マリアは、近くにあったスツールを引き寄せて座り、スカートを握っていたレイノルドの手を両手で包み込んだ。

「はい。わたくし、レイノルド様のお側におりますわ」

 すると、レイノルドは、ほっと息を吐いて目を閉じた。
 聞こえてきた寝息は、先ほどより、少しだけ楽になっていた。

 マリアは、水を絞ったタオルを彼の額に当てて、彼が安らかに眠れるよう手を握っていたのだった。


「――ん」