【受賞&書籍化】高嶺の花扱いされる悪役令嬢ですが、本音はめちゃくちゃ恋したい

 第二王子からの婚約破棄も取り沙汰されている状況だ。
 こうしてマリアが見舞いに来たと知られれば、さらに批判は大きくなるだろう。大勢に見られないうちに帰った方がいい。

「レイノルド様のお顔が見られて安心しました。わたくしは、これで――」

 タオルを置いて、ベッドを離れようとしたマリアは、スカートをクイと引かれる感触に振り返った。
 見れば、レイノルドが弱々しい表情で、マリアの服をつまんでいる。

「帰らないでくれ……」
「っ!?」

 切なげに乞われて、マリアは心臓が止まるかと思った。
 普段ぶっきらぼうでクールなレイノルドが、こんな風に甘えてくるなんて。

(体調を崩して、心細くなっていらっしゃるんだわ)