マリアは、自室でパーティー会場の図面を開いていた。

 身につけたレモンイエローのサマードレスは、今夏にあわせて新調したものだ。
 開けた窓から入ってくる風が、チュールで作られたスリーブに越しに肌を撫でるので、気温のわりに暑くはなかった。

 指で図面をなぞりながら、どんな風に飾られるかイメージしていく。

「たしか、ここには軽食ブースが用意されるはず……」
「失礼いたします、マリアヴェーラ様。宮殿よりお手紙が届いております」

 ジルが持ってきた白い封筒を見て、マリアは表情を明るくした。

「レイノルド様から?」
「いいえ。第二王子殿下の側近殿からです」
「そう……」