マリアは追い打ちをかけるように言い放った。

「ついでに申し上げておきますね。結婚を考え直せだなんて、簡単に言わないでくださいませ。これは、第二王子殿下がお決めになった結婚ですわ。レイノルド様をそしるだなんて不敬、お家を離れたあなたには許されないとお分かりでしょう?」
「……失礼いたしました」

 クレロは頭を下げた。それを一瞥して部屋を出たマリアは、ぼそりと呟く。
 
「他人に恋人の悪口を言われると、自分のモヤモヤが吹っ飛ぶくらいに苛立つものなのね」

 新たな発見に気を良くしながら、マリアは、砂糖粒のついた指をぺろっと舐めたのだった。