「マリアヴェーラ様。第二王子殿下との仲について、お考え直されては」
「なぜ?」

 冷たく振り向いたマリアに、クレロは眉をひそめる。

「なぜって……今、お伝えしたように、私はマリアヴェーラ様を、」
「勘違いしていらっしゃるようね、クレロ様。わたくし、レイノルド様との関係に不安は抱えておりませんわ。明日にでも結婚したとして、何の不都合もありません」
「ですが、結婚すれば国が破滅すると、聖女に預言されたのですよね?」
「ええ。とっても面白いでしょう?」

 マリアは持ち前の美貌を輝かせて、あでやかに微笑んだ。

「この恋を叶えるためなら、わたくし、どんな困難にでも立ち向かえますの。わたくしの恋と、聖女の預言、どちらが勝つか見物だわ」

 傲岸不遜なまでの態度に、クレロはあ然としている。