身長は彼女の方が小さいが、マリアより大人びた視点を持っている。

「私たちは、いつでも好きな自分でいたいと願ってしまいますけれど、好きな自分を押しつけてはならない場面はたくさんあります。そういう分別を持っていらっしゃるマリアヴェーラ様だからこそ、私は大好きなんです」
「ミゼル様……!」

 はにかむ友達の言葉に、マリアは感動した。

「……ありがとう。わたくし、〝高値の花〟の姿を肖像画に残そうと思いますわ。残念だけれど、今回はかわいいものを封印しなければなりませんわね」

「完全には封印しなくてもいいと思います。マリアヴェーラ様ではなく、周りに可愛らしさを取り入れてみてはどうでしょう。例えば、背景に花やリボンを入れていただくとか、額を絢爛豪華なものではなく、花を彫刻したものにするとか……」

「それ、とても良い考えですわね」

 話は予想外に盛り上がり、ティーコジーをかけたポットの紅茶が冷めるまで、延々と続いたのだった。