(こうなると分かっていたのに……)

 自分だけが後ろ指さされるならまだいいが、相手がいるデートで着てくるべきではなかった。
 男性は、連れ歩く女性の善し悪しで格付けされる。
 連れそうレイノルドの迷惑を考えれば、マリアは外見に相応しい格好をするべきだったのだ。

「変な格好で申し訳ございません。自分でも似合わないと分かっていたのですけれど、前に小花柄のドレスを褒めていただけたので、調子にのってしまいましたわ……」

 立ち止まって猛省するマリアに、レイノルドはやれやれと肩をすくめた。

「勘違いしているみたいだが、あんたは何も変じゃない」
「ですが、目立っていたのですよね?」
「ああ」

 不安げに尋ねるマリアを、レイノルドはとろけそうに甘い瞳で見返す。