不安になって踵を返したら、後ろにいた男性とぶつかって二人一緒に倒れてしまった。マリアは、男性のうえに乗る形でうつぶせになる。

「申し訳ありません。わたくしの不注意で――」
「いや、受け止めきれなかった俺が悪い」

 聞き覚えのある声に顔を上げたマリアは、目をまん丸にして驚いた。

「レイノルド様!」