「かしこまりました。急にご予定を立てられるなんて珍しいですね」

 いぶかしげなジルに、マリアは微笑みかける。

「お父様の耳に届くくらいの大声で、わたくしの悪評を立てているのは誰なのか、気になってしまったのよ」

 手紙を胸に当てて、何やら悪巧みをする彼女の笑みは、見慣れているジルでさえゾッとするほど美しかった。