国王に名を呼ばれて、マリアはひざまずいた。
 言い渡されるのは、処刑か、禁固刑か、それとも流罪か……。
 緊張しつつ待っていると、予想外の展開が待っていた。

「そなたには、レイノルドを側で支えてもらいたい。第二王子の妃となってはくれまいか?」
「それは……」

 王位継承権第一位の王子との結婚は、貴族令嬢にとっての最上の出世コース。けれど自分の心が求めるのは、そういう思惑とはほど遠い、おとぎ話のような展開だ。

「……申し訳ございません、国王陛下。わたくし、大恋愛した相手と結婚すると決めておりますの。ですから、レイノルド様――」

 マリアは立ち上がって、レイノルドの手を両手でつまんだ。