私はこっそり、「誰だろー?」と言って、隣で首を傾げている結奈を見た。

結奈は凄く可愛くて、よく、男子たちが可愛いって騒いでいるのを聞く。

それに、ちょっと天然なところがあって、でも本人は、それに全く気づいていない。

え、もう絶対結奈じゃん。私は、さっきからチクチク痛い胸に気づかないフリをして、

出来るだけ明るく言った。

「んー、誰だろ?私たちの知ってる子かぁ…」

「しかも同クラでしょ?え、待ってホントに分かんない」

「意外と近くにいるかもよ?」

「えぇー?」

クスクス笑いながら楽しそうな翔飛と、必死で考えながら悩んでいる結奈はホントにお似合いで。

「あのっ、ごめん、私ちょっとお手洗い行ってくるね!」

気づいたらそう言って席を立っていた。

もうここにいたくない、という気持ちからの防御姿勢。