その時。
「あ、あれ!」
健司が一点を指差す。
指の先。
その先にあったものは
浩介と1人の女の子。
ネクタイの色から見て1年生。
「浩介…」
ねぇ、私との約束は?
何で笑ってるの?
なんで…こんなところにいるの?
ずきん。
そう胸が痛んだ時だった。
ふわっと触れた腕。
「え…」
私は、一瞬目の前が真っ白になった。
浩介の腕に手を回し、
笑顔で笑いかけるその子。
「…っ」
張り裂けそうだった。
こんなにも、胸が痛くなったのはいつぶりだろうか。
「愛莉!?」
隣にいた健司が
私の顔を見て驚いたように声を上げた。
ぽろっと流れたのは
涙だろうか。
何かが頬をつーっと伝った。
「あい、り?」
その声に少し離れたところにいた浩介と彼女がこちらを振り向く。
驚いたように目を見開く浩介。
固まる彼女。
「け、健司。帰ろ!」
「は?」
唖然としている健司の腕を引き、私は小走りにその場から逃げた。…そう、逃げたんだ。
あの光景を
あの笑顔から
とにかく逃げたかった。

