君、思う。[短篇]







「愛莉っ!」


と、その時だった。
後ろから私を呼ぶ声。


「…!」


絡んだ視線が解かれ、私は声のする方向へと顔を向けた。





揺れる髪。
大きな声。
そして内履きのままの浩介。



「こ、浩介?」

「はぁ…はぁ…」


肩で呼吸をする浩介。
私の目の前まで来て必死にを整えようとしている。



なんで?
あの子はいいの?


「なんで、先帰ってんの?」

「…。」


ようやく話せるようになったのか、きっと顔を上に上げて私を見つめる。



何でって…
帰るに決まってるじゃない。

浩介の隣は、もう私の居場所じゃない。





「愛莉は俺と帰るから。」



何も言えず、
下を向く私の前に出たのは健司。


私と浩介の間に健司が立つ。



「意味、分かんねぇんだけど。そうなの?愛莉。」

「…っ」





少しイライラした浩介の声。

それでも私を呼ぶ
その時だけは何処か優しさが篭っていた。





「浩介君もその方が良いだろ?」




ずきん。
健司の言葉が胸に突き刺さる。








私は…浩介にとって邪魔。