死にたがりな君と、恋をはじめる

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……ふぅ。











私は教室の扉の前で大きく深呼吸をした。










この一歩……この一歩を踏み出したら、私の生活は変わる。









私にそんな勇気があるだろうか。













私は教室のドアを世界の境界線のように考えて、ゴクリと息を呑んだ。














……勇気がある、ない、じゃないんだ。













勇気を出すか、出さないか、だ。














私は息を吐くと、大きく扉を開いた。










ガラッと大きな音を立てて開けたそれに、クラスメイトの視線がこちらに向けられた。














その視線に少しひるんでしまって、それでも自分を鼓舞して、はぁっと大きく息を吸った。










「おはよう‼」












腹から声を出して叫んだ私に、クラスメイトが一瞬のうちにざわめいたのがわかった。










「え……何? キャラチェン?」









「こんなことしたらますます田中さんに目を付けられるのに……馬鹿なの?」














「気でも狂ったんじゃない?」

















クラスメイトの噂と、冷たい視線が肌に突き刺さって、痛い。












それでも私は知らないふりをして、田中に目を向けた。















田中はしばらく驚いたように放心していたけど、私と目が合うと途端に顔をゆがめた。











まるで般若のお面でもかぶっているかのようなその顔に、私は怯えることなく微笑み返す。


















スタスタと軽い足取りで田中の前まで歩いていくと、田中は想定通りの反応をする。