「……っ違う。違う……そんなの、すべて……レイの妄想だよ。事実なんか、そんなのじゃないんだから」
ようやく口から洩れた言葉は、頼りなく震えていて、それでも、それを馬鹿みたいに繰り返した。
口ではそういいきれても、心の中は整理がついていなくてぐちゃぐちゃで。
私は浅い呼吸を繰り返した。
それでも何かを言っていないと、自分の身体や心がボロボロと崩れ落ちていきそうで、その不安定さが、とてつもなく嫌だ。
私は体が崩れていかないようにしっかりと両腕で抱きしめた。
すると、レイは優しく背中をさすってくれて、呼吸を促してくれる。
そして、静かな声を漏らした。


