「……」
その様子をじっと見つめていたゆーま君が小さく笑い声をあげた。
「二人とも仲いいんだ。喧嘩してても楽しそうだから」
ゆーま君の言葉に数秒固まって、それから声を発した。
「そんなわけないでしょ?」
『え~。ゆーま俺と奈月の仲の良さに気が付くだなんてなかなかセンスあるね?』
声をそろえて、でも正反対のことを言うとゆーま君はさも面白そうに明るく笑って、それから寂しげな顔で呟いた。
「本当に仲がいいんだ。……僕のお母さんとお父さんも、こんな風だったらなぁ……」
「……え?」
ゆーま君の切なげな呟きに、目を大きく見開いた。
ゆーま君のお母さんと……お父さん?
……そういえば、ゆーま君は遊園地にお母さんとお姉ちゃんと一緒に来たって言ってたな……。
お母さんと、お姉ちゃん……それじゃあ、お父さんは?
ゆーま君の父親は休日出社で仕事に行ってでもいるのだろうか。
……いや。違うだろう。
ゆーま君のこの顔はお父さんと一緒に遊園地にこれなくて寂しいって言うわけじゃなそうだ。
もしかしたらゆーま君の家庭環境は複雑なのかもしれない。
そこまで考えて、私はいやいやと首を横に振った。
人の家庭の問題なんて、私には関係ない。
それに、他人が関わっていいものじゃないしね。


