「うん……お兄ちゃん浮かんでて、怖くて泣いちゃったの……迷惑かけてごめんなさい……っ」
しょんぼりと眉を下げられて、私はレイを睨んだ。
「もう。私のせいじゃなかったじゃん! レイが怖がらせたから泣いちゃったんだってよ?」
『へぇ。まぁ子供って霊感を持っている子が多いけどね。大人になるにつれて霊感がだんだん弱まっていくっていうのが普通のパターンだけど』
興味深そうに子供を見つめるレイにゆーま君はまた泣きそうな顔になって、私は慌てて話題を変えた。
「え、えっと。ゆーま君の家族はどこにいるのかな? 一緒じゃないの?」
「っ……!」
私の問いにゆーま君は再び大きな涙の粒をぽろぽろと落して、私は我に返る。
やばい……この子たぶん迷子だ……。
私はようやく気が付いて、頭を抱える。
やってしまった……ようやく泣き止んだのに、それなのにまた泣かせてしまった……!
そして何よりも、
『あ~。奈月お姉ちゃんが子供を泣かしてる~いっけないんだ~』
と茶化してくるレイが腹立たしい!
「お、お母さんも、お姉ちゃんもいなくなっちゃった……僕もうお母さんたちと会えないんだぁ……っ」
「あぁっ、ごめんっ。お姉ちゃん、奈月お姉ちゃんが一緒にいるからっ。私が一緒にお母さんとお姉ちゃん探してあげるからっ。ね!」
しゃがみこんで、ゆーま君の子供特有のぽてっとした、温かい手をそっと握った。
するとゆーま君は涙目のままこちらを見つめた。
「う……っぅ。ほ、ほんと……?」
「ほんとほんと!」
こくこくと首を赤べこのように縦に振ると、ゆーま君はごしごしと拳で涙をすくい、こちらに頭を下げた。
「奈月お姉ちゃん。レイお兄さん。ぼ、僕を助けてください……っ」
「っ……」
私はつい、その大人びた仕草に目を見張った。


