死にたがりな君と、恋をはじめる

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ジェットコースターから降り、階段を降りると、私はずるずるとベンチに倒れ込んだ。






『奈月、大丈夫? フラフラじゃん』

「う、うぅぅ~……よ、酔った……」







口元に手を当てて低く呻く私に、レイは心配そうに眉を下げた。







『奈月絶叫系マシーン苦手だった? もしそうだったら、行ってくれたらよかったのに……』


「いや、今まで遊園地とか来た事なかったし……自分がこんなにも酔いやすい体質だとは……」





恥ずかしながら立ち上がることができずに、横たわったままになっている。






するとレイは横たわる私の横に腰を下ろした。








ベンチは木の下にあって、いい感じの木陰になっている。






風がサァッと風が吹いて、髪を軽く揺らした。





うっすらと目を開けると風がレイの風を揺らしていて、黒髪が日光に照らされて透けた。





……綺麗。



私はぼんやりとした気持ちのまま、レイの顔をじっと見つめた。





サラリとした黒髪に、青く見えるほど透き通った黒い瞳。スッと通った鼻筋。

日に焼けていない白い肌が、美少年感を増している。





「……」


『……?』







じぃっと見つめているとレイと目が合って、不思議そうに首を傾げられる。






ふいにレイが頬を撫でた。


するとスゥッと風が通ったかのような感覚に、私はレイの顔を見上げた。







「……何?」


『いや、目が合ったからなんとなく』





そんな風に答えるレイに、はぁ? と顔をしかめた。






何それ。自由過ぎない?


あ。そうだ……レイって自由人だった……。





でもレイの口調にはいつもの憎たらしさがなくて、私は口を噤んだ。







……このしんとした雰囲気が嫌で、私はホッと掛け声を勢いよく起き上がった。