死にたがりな君と、恋をはじめる


え?







言われるがままに前を向くと、……目の前には、青空がいっぱいに広がっていて。




……次の瞬間。








「き、きゃああああっ!」


『ふぅ~!』








ふわっと、内臓が浮く感覚がして、あまりの風圧に、目を開けられない。







え⁉ レイ頭がどうかしちゃったの? これのどこが楽しいの⁉




髪と服がちぎれそうなほどはためく。










ゴゴゴゴゴっと音を立てて、ものすごいスピードで敷地内を通りすぎるジェットコースター。









自分の叫び声さえも後ろに流れて行って、恐怖のあまり、よく聞こえない……っ!






最後の急加速とばかりにガガッとスピードが上がって、ふいに私は目を開けてしまう。





っあー……。





目の前いっぱいに雲一つない青空が広がっていて、私はついジェットコースターに乗っている最中だということも忘れて見入ってしまう。






……気持ちいいかも。

レイが空を飛んでいるときっていつもこんな気分なのかな?





でも、次の瞬間コースターは急降下して、私は地の底まで響くような悲鳴を上げた。



うぅ……いくら景色が綺麗でも、怖いものは怖いんだーっ!