不幸にも、ジェットコースターに並んでいる人はいなくて、待ち時間ゼロで、あっという間にジェットコースターに乗らされてしまった。
安全レバーを下ろされて、キャストさんに笑顔で見送られる。
「それではみなさま、愉快な空の旅を、どうぞお楽しみくださいませ。いってらっしゃ~い!」
ひ、ひぃっ……愉快⁉ 恐怖の間違いでは……?
手を振って送り出してくれるキャストさんの顔が死神に見える~……っ。
がこっ、がこっと錆びついた音を出しつつゆっくりゆっくり頂上へ登っていくコースターに、恐怖で体が固まって、ピクリとも動けない。
『……そんなに怖い? 奈月一回学校の屋上から飛び降りたことあるじゃん』
そんな様子の私に、レイはくすっとさも面白げに笑った。
「っ~! だ、だってそういうのは、心の準備ってものがあるでしょ⁉ これはそんなものないしっ!」
『そういうもの?』
「そーゆーものっ!」
私が涙目でそう説明すると、レイはにっこりと笑い前を向くように指で指図した。


