「レイはどこ行こうと思ってたの?」
『実は何にも決めてなくて、闇雲に歩いていたんだよね~』
「はっ? 馬鹿じゃないの」
さっきまでの重い雰囲気が消えてそんな軽口を叩けることに、少し安心する。
「とりあえずパンフレットもらってくるね」
『よろしく!』
にこやかな笑顔のキャストさんに話しかけて、パンフレットを受け取り、レイの元へ戻る。
「で、どこ行く?」
『えっと……ここ!』
私がそう問いかけると、レイは、わくわくした様子でパンフレットを覗き込み、
一か所を指差した。
そこは、ジェットコースターで、私はビシィっと固まってしまう。
「え、ジェットコースター……? 最初からそれじゃあ、心臓持たなくない……?」
『いいじゃん。意外に怖くないかもよ? 俺も遊園地初体験だし、一番人気っぽいアトラクション乗ろうよ』
唇の端をピクリと震わせると、レイは楽しそうな顔で私の手を引く。
あ、こいつ私が怖がっているのを見て楽しんでるな。
そうわかっても、押し寄せる恐怖に飲まれて怒ることもできない。
私は、何も抗うことができずに、ジェットコースターのアトラクションの前まで来てしまった。


