死にたがりな君と、恋をはじめる


「そういえば……レイ以外にも幽霊っているの? 今まで一度も見たことがないけど……」


『……え』







何気なく質問すると、レイはぴたりと歩くのをやめた。





「うわっ……どうしたの?」







レイの背中に思い切り突っ込んでしまいそうになって、反射的に肩を震わせた。







まぁ、本当は、触ることはできないんだろうけど。







「ちょっと、何するの?」


『……』


「聞いてる?」








そういって、レイの顔を覗き込むと、思わず絶句する。









レイの顔は、未だかつてないほど険しくて、いつもの飄々とした様子は微塵も感じられなかった。







え……ど、どうしたの?





まさか私地雷踏み抜いちゃった……?







「れ、レイ?」








困惑して声を漏らすと、レイはびくっと肩を揺らして、こちらに視線を向けた。











『……まぁ、幽霊って俺みたいに陽気な奴ばっかじゃないし、何なら陰キャが多いしね。隠れてるんじゃない?』








いつものように笑顔を浮かべて。


いつものように冗談を言ったけど、その声はいつもの倍以上固くて、私は戸惑う。






だって、笑みを浮かべる口元とは裏腹に目の奥では深い恐怖が震えていて、レイはそれを隠すために笑っているんだから。











そんな意味の笑顔は痛ましくて、私は無言でレイから視線を離した。








……誰にだって、聞かれたくないことは、ある。



これ以上聞くのは、やめよう。









そう思って私は、レイの前まで歩いて行って、レイに笑いかけた。









「じゃ、行こ。今日は全部忘れて楽しむんでしょ?」


『っ……』








レイは、目を大きく見開くと、ほっと小さく息を漏らした。






『あ、あぁ。うん。行こうか』





安心したような声に、私は自分の行動が間違っていなかったことを確認した。