死にたがりな君と、恋をはじめる

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……レイ、あの時私を助けたのは、意味がなかったね。




だって、私は今も『ここ』にいるんだもの。




私は、再び夜の学校の校舎に座り込んだ。



ひんやりとしたコンクリートの感覚に、そっと目を閉じた。




昨日の夜と比べて、今日は風が生ぬるい。




首元でうっすらとかいた汗が、気持ち悪くて、制服のブラウスのボタンをはずした。


腰くらいまで伸ばした長い髪がうっとうしくて、ぱっと後ろに払った。





『……奈月、よくここで会うね。屋上好きなの?』


「……来てたの」





背後から風のような気配を感じて、声がした。





振り返れば、初めて会った時と同じ姿でレイが浮遊していた。




夜空の下にいると、いつにもましてレイの体は透明に透き通って見える。





ただ、昨日は星がキラキラと煌めいていた瞳が、今日は暗い。



……今日は、空に星がいなくて、どんよりと曇っているからだろうか。