「佐川、大丈夫か? 親御さんから連絡は入っているから、もう、保健室に行きなさい」
「……はい、わかりました」
誠おばさん……やっぱり、気が付いていたんだ。
連絡してくれていたことに感謝して、保健室に向かおうとする。
……と、ひそひそとした声の噂が耳をついた。
「親御さん、だってさー。あいつ、本当の親に捨てられてるくせにね」
「仕方ないじゃーん、先生だって言葉選び大変なんだから~」
「自分勝手に授業中断させといてえらそーにしてるなんて、何様?」
くすくすとした笑い声まで聞こえて、私はひそかに唇を噛み締めた。
……うるさいな。人の家の事情に口出ししてきて……。
イライラとして、彼女たちを睨みつけたい衝動にかられたけど、授業を中断させて、
迷惑をかけたのは事実なので、一応謝ることにした。
「……授業を中断させてしまって、すみませんでした。
私は今から保健室に向かって、しばらく休もうと思います。本当にすみませんでした」
「あ、あぁ。気にすることはない」
先生に頭を下げ、教室の戸を閉めようとすると、田中と目が合って、思い切り睨まれた。
お前なんかが何注目されてんだよ。とでも言いたげなその視線に、
私はすぐに目をそらし、戸を閉めた。


