死にたがりな君と、恋をはじめる


あまりの衝撃に急激に眠気が飛んで、ぱちぱちと何度も何度も瞬きを繰り返す。







でも何度見返しても、画面に浮かんだ文字は変わらなくて、私はすたっと立ち上がった。









応答ボタンに手を伸ばす。








それでもやっぱり途中で怖気ついてしまって、手のひらをギュッと握りしめた。












乾いた唇をなめて潤わせてから、再び応答ボタンに手を伸ばす。










意を決して画面をタップすると、少しのノイズの後電話がつながって、唇を薄く開いた。














「……もしもし」




『……あぁ。まだ寝ていなかったのか』










電話に出ると、くぐもった低い声が耳をついた。












……この声。嫌いだ。













私だけに向けられる、何の抑揚も感じられない無機質な声。









電話越しにも感じる威圧感に背中に冷たい汗が流れた。











ドクドクとうるさい心臓を服の上からギュッと握りしめた。









「いきなり……何の用ですか」











動揺を悟らせぬようにあえて平静を装って。緊張を悟らせぬように抑揚のない声で返事をした。









『いや、お前……今日で、家を出て半年経っただろう。誠さんに、迷惑をかけていないか?』





「別に心配をかけるようなことは何もしていませんし、迷惑なんてかけていないです」













間髪入れずにそう返事すると、電話の奥でそいつは大きなため息をついた。











呆れられたような反応に、私は無意識のうちに唇を噛んだ。





何なの、今さら保護者ぶって……。






ふつふつと怒りがこみ上げてきて、ぎり……と拳を握りしめた。











「それで……用件はそれだけですか」




『……あぁ、それじゃあ、忙しいところ悪かったな』










一刻も早く切りたくて。





その言葉を聞くなり、私はぶつりと電話を切った。













「っ……はぁ」




足に力が入らなくて、ベッドにぼすんと座り込んだ。






『奈月? 今の電話誰から――っ』









レイは、かたかたと震える私の手を見て、目を見開いた。