「え? 佐川ちゃん馬鹿なの?」
静かな声でそう聞くと、田中は眉をひそめた。
「楽しい、楽しくない、なんてどうでもいいことでしょ? 私は人に認められていることを感じて幸せを感じる人種なの。わかってくれる?」
「正直、全然わかんない」
同意を求められて、手を顔の前で振った。
わからない……けど。
それじゃあ田中は……。
「田中は私を不幸にしたかったっていうより、不幸にすることで優越感に浸りたかったってこと?」
「んー……言い方がムカつくけど、まぁそうだね」
頷く田中に、私は畳みかけるように続けた。
「じゃあさ。もう田中は私をいじめる理由はないんじゃない?」
「え?」
ぱっと顔を上げて目を丸くさせた田中に、私は誘うかのような笑みを浮かべた。
「だって、そうでしょ? 私は今日の一件で、いじめで頭のおかしくなった子、田中はそんなクラスメイトにも笑顔で話したいい人としてぶりっ子疑惑が晴れたんだから」
「あ……」
田中は今気が付いたかのように声を漏らす。
その反応に、私は手ごたえを感じて、さらに続けた。
「これからも私を田中のイメージをよくするために利用していいよ。……でもその代わりにいじめはやめて。もう学校生活を穏やかに過ごしたいんだ。目立つ行動はとらないから」
「………」


