「私は……噂を信じて私を嫌う奴らも、自分まで巻き込まれたくないからって離れていった友達も全員が心底憎かった。人ひとり死んだだけって、そんなくらいで悲しむなって……馬鹿じゃないの。みんなそんな経験がないからそんなこと言えるんだ」
田中は憎悪をこもった瞳で、青々とした空を睨んだ。
「一人の死が、人の人生を狂わせることだって、あるんだ。何にも知らない癖に、本当に反吐が出る」
吐き捨てる田中に、私は心の中で同意した。
人は自分勝手な生き物だから。
自分が体験した苦しみしか想像できないんだ。
田中は浅く息を吐くと、よっと勢いよく上半身を起こした。
「だからさ、私は思ったの」
「……何が?」
「あんたが苦しめば、私はまた可哀そうな子になれるんじゃないかってね」
そう言って私の方をまっすぐに見つめる田中の瞳の奥には、真っ暗な闇が広がっていて、私は背筋にぞくりと鳥肌が立った。
「……それで私をいじめたの?」
「そうだよ。それ以外に理由なんてある?」
田中は怒りを覆い隠すように笑顔を浮かべた。
優しい笑みだったけど、私にはその笑みが狂気じみたものに感じてならなかった。
「田中はさ……私をいじめることで満たされた?」
「満たされる? 何のこと言ってるか知らないけど……そんな必要ないもの。私は今の暮らしに満足している。だからいじめをやめるわけにはいかないの。ごめんね? 佐川ちゃん」
「田中は……クラスメイトを憎んでいたんじゃないの? それなのに、そんな奴らと仲良くして……楽しいの?」


