「……私は、驚いたよ」
「え?」
田中の言葉に、私は田中の顔を見つめた。
「私は父親を失って、日常生活を犯すほど苦しんでいたのに……この子は死んでないにしろ両親から家を追い出されたのに、平然としていて。なんでこんなにも普通に暮らしているんだろう、って」
「……それは」
私はそっと目を伏せた。
それは……私は田中と違って、親の事が好きじゃないからだ。
それに私には親なんていなくても、誠おばさんがいたから。
……まぁ、それを田中に言っても理解されないと思うから、何も言わないでおくけど。
「最初は良かったのよ。……でもね。だんだんクラスメイトはこう思ったの。佐川さんは両親に嫌われても元気に暮らしているのに、田中は父親一人死んだだけで、大げさじゃねって。もしかして心配してほしいだけの演技だったんじゃないかってさ」
「え……」
田中は、そんなことを陰で言われていたの……?
あまりの衝撃にショックを受ける。
「そんな噂が一度流れてしまったら、もう終わりだよ。私の名前しか知らない人、話したこともない人が、田中友花はぶりっ子だって、一斉に言うんだから。……それで、ずっと私の味方だった友達さえも、失った」
「……」
田中は唇をギュッと噛み締める。


