……うん。
私はともかく、田中が私を羨む理由なんて、ない。
そんな意見がわいてきたけど、とりあえずは田中の話を聞こうと黙っておく。
「家でも、学校でもショックが大きくてずっと暗い顔をしてたの」
「田中が?」
私はつい驚いて、聞き返してしまう。
だって、意外だったから。
田中の事だから、クラスメイトに心配されても大丈夫だって笑って誤魔化すかと思っていた。
ぱちぱちと目を瞬かせると、田中はフッと鼻で笑った。
「それくらい、好きだったの。………でも、私には友達がいた。私が泣きたいときには慰めてくれて、ずっと、一緒にいてくれて。そのおかげでだんだん元気を取り戻してきたの」
「……よかったね」
相槌を打つと、田中はこくんと小さく頷く。
「そんな時、転校生が来たんだ」
「あぁ……二年生の春にね」
その時期の転校生っていうのは、きっと私の事だろう。
確信を持つためにそう聞くと、田中は頷く。
「そう。……その子には、噂が流れていた。その子は家族に嫌われていて、それで親戚の家に逃げてきたんだって」
「……そうなんだ」
……そっか。
噂は、私が転校してきた当初から流れていたんだ。
初めて知った事実に、私は納得した。


