田中はしばらく呆然とした後、悔しそうに唇を噛み、こちらを睨んでくる。
何? 私は間違ったこと言ってる?
言ってないでしょ。それなのになんで睨んでくるの。
ふつふつと腹の奥で苛立ちがわいてきて、睨み返す。
「……はぁ」
と、田中が小さく息を吐いて、緊張が緩む。
「……まし、かったのよ」
「え?」
田中がかすれる声で何かを呟いて、私は首を傾げて聞き返した。
何……?
きょとんと目を丸くすると、田中は拳をギュッと力強く握りしめた。
「あんたが……うらやましかったのよ」
「……え?」
田中の言葉に、大きく目を見開いた。
羨ま、しい……? 私が?
私に田中に羨まれるような要素があっただろうか。
口元に手を持っていき、はて、と首を傾げる。
すると、田中は奥歯を噛み締め、髪をぐしゃぐしゃとかき乱した。
「っ……何で、あんたは幸せそうなのよ……」
「え……?」
「あんたのせいで……っ私はっ!」
「え……ちょ、と、とりあえず落ち着いて話しよう」
ぎりぎりと歯ぎしりをする田中に、私がまたもや意味が分からなくて。
話をしようと、田中を落ち着かせる。


