「っ……は」
田中は困惑したように眉を寄せ、こちらを睨んでくる。
「あんた……何が目的?」
クラスメイトには聞こえないような、小さな声。
低く呻き探りを入れる田中に、私は笑みを絶やさず、距離をとる。
「あはは。そんなの今言っても意味ないでしょ? 気になるなら、このお願いを聞き入れてくれることを願っているから」
手をひらひらと振り、席についた。
かたんと音を立てて席に座り、平然としている。
すると、最初は私に注目していたクラスメイトも次第にそれぞれの会話を再開した。
私は席に着くと、大きく息を吐いた。
口を小さく開き、それから唇をなめた。
表面上は冷静なフリをしていても、背筋には冷たい汗が流れていて、私は両手をギュッと握りしめた。
……落ち着け、落ち着け、落ち着け。
逃げるなんて、あってはいけない。
私はそう自分に言い聞かせて、ホッと息を吐いた。
今のところは、うまく言っている。
後は、話すだけだ。
最後まで、最後まで言わないと。
私は自分に喝を入れ、再び大きくため息をついた。
手を開いてみると、手のひらにはじんわりと爪の痕と、血が付いていた。
私はそれを確認すると、奥歯を噛み締めた。


