「な、なんで?」
「『もう麻莉乃のこと好きじゃなくなった』って言われた。は?なんなの、あいつ」

怒りに溢れてる麻莉姉は怖い。

「まあ、仁さんっぽいっちゃ、ぽいですよね」

俺の空振りするフォロー。
麻莉姉に睨まれた。

その時、サークル内女子2位でゴールしたと思われる綾香がゴール受付してるのが目に入った。
同じタイミングで龍平さんも「あ」と発見する。

「綾香、あいつも早いな」
「ですね」

綾香は振り向いて俺たちに気付く。
笑顔で走ってきた。
たくさん走った直後なのに。

「おつかれ」

自然と俺の口から出てきた。

「じゃーん、ギリ100位以内」

ピンクの94というカードを得意げに見せてきた。
全体では260位だけど、女性部門では94位だったらしい。

「すげー」ととりあえず言っておく。

「こいつ、全体で56位」と龍平さんが俺の肩にポンと手を置いた。

「は!?56!?」

綾香が驚いて俺を見る。

「すげーよな、下手な陸部より速いよ」と盛り上がってくれる。
いやいや、と謙遜する俺。