ゴンさん家から直接大学に向かう。

すげー眠い。
ゴンさんと龍平さんと男三人で、結局ゴンさん家でまた飲んでしまった。

それでもちゃんと2コマからの授業に間に合うように行く俺は真面目だ。

途中、綾香のアパートが目に入る。

昨日の記憶を思い出してしまった。

っていうより、ずっと、ゴンさん家で飲んでても考えていた。

なんで俺は見てるだけで何もできなかったんだろう。
もう少しスマートにいける男だったら。

カン、カン、とアパートの外階段を降りてくる姿が目に入ってきた。

は?

え、なんで?

仁さんだ。

綾香のアパートから、仁さん。

なんで?

電話で誰かと話しながら、ダルそうに降りてくるその姿。
そしてふと、目が合ってしまった。

ど、どうしよう。

仁さんも目を見開く。

そして、何故か笑顔で大きく手招きしてきた。

は?

「おい!おい!悠人!」

俺をそう呼ぶ。

は?

「なんすか」

ヨロヨロと近づくと、スマホのマイク部分を手で伏せながら俺に小声で言う。

「昨日、お前ん家に泊まったってことにしてるから」
「は?なにが」
「まーりーの!」

裏工作。

それってつまり・・・。

俺は綾香のアパートを見上げる。

やっぱり綾香ん家に泊まったってことか。
・・・やったのかな。
雑魚寝か?

「悠人からも麻莉乃にそう説明して」
「なんでですか、嫌ですよ」
「いいから」

仁さんが強引に俺にスマホを渡してきた。
渋々耳元に当てる。