「戻らないんですか」
「いいじゃん、そんなすぐ戻らなくても」
仁さんはそう言って少しくつろぎ始めた。
穏やかで静かな車内。
風がそよそよと入ってくる。
さっきから足元にある大きな女物のバッグが気になる。
麻莉乃さんのだ。
そのバッグが何故か仁さんの所有権を主張しているように見えてくる。
仁は私の、と言ってるように見えた。
たぶん今、麻莉乃さんは、助手席に私が座ってるのも気に食わないと思う。
私も居心地の悪さが気になっていた。
「このままどっかドライブ行っちゃおっか」
仁さんが笑う。
「やめてください、麻莉乃さんからいじめられます」
「そうかなあ」
本当に適当な人だ。
そういうルーズさのしわ寄せが、私に来るんだから。
「そうだ、野球終わったら麻莉乃を駅まで送ってかないといけないんだった」
仁さんは思い出したように焦ってシートの角度を戻す。
もうすぐ試合も終わって後片付けの時間だ。
「もう終わりますよ」
「やっば」
仁さんはやっと車を動かす。
サボってた私たちは球場に戻り始めた。
「いいじゃん、そんなすぐ戻らなくても」
仁さんはそう言って少しくつろぎ始めた。
穏やかで静かな車内。
風がそよそよと入ってくる。
さっきから足元にある大きな女物のバッグが気になる。
麻莉乃さんのだ。
そのバッグが何故か仁さんの所有権を主張しているように見えてくる。
仁は私の、と言ってるように見えた。
たぶん今、麻莉乃さんは、助手席に私が座ってるのも気に食わないと思う。
私も居心地の悪さが気になっていた。
「このままどっかドライブ行っちゃおっか」
仁さんが笑う。
「やめてください、麻莉乃さんからいじめられます」
「そうかなあ」
本当に適当な人だ。
そういうルーズさのしわ寄せが、私に来るんだから。
「そうだ、野球終わったら麻莉乃を駅まで送ってかないといけないんだった」
仁さんは思い出したように焦ってシートの角度を戻す。
もうすぐ試合も終わって後片付けの時間だ。
「もう終わりますよ」
「やっば」
仁さんはやっと車を動かす。
サボってた私たちは球場に戻り始めた。