「綾香」
悠人がミットで私をつついてきた。
「綾香、そっち」
私は「ああ」と気の抜けた声で返事して移動する。
「もうちょっと綾香離れて」
悠人が距離を離すように指示してきた。
「取れる自信ないけど」
私はダラダラと後方に歩く。
ダラダラと。
仁さんたちの騒がしい盛り上がりをどこか気にしながら。
「あ、綾香危ない」
悠人の声がした。
「えっ」
私はどこから何が来るのか判断できずに、咄嗟に頭を抱えてしゃがみ込む。
と、次の瞬間右側からすごい勢いで突き飛ばされるように誰かとぶつかった。
吹っ飛ばされる胴体と、誰かの体の下敷きになってしまった右足。
全体重が私の右足を押しつぶしてきた瞬間、ぐきっと激痛が走る。
「ごめんっ」
すぐに声がした。
ゆっくり顔を上げると、仁さんとペアを組んでた龍平さんだった。
龍平さんがすぐに立ち上がる。
右足首が痛すぎてとっさに声が出ない。
お腹に力を入れて、右足をさすってさすって痛みを堪える。
「綾香、大丈夫?」
悠人が走ってきて私の表情を伺う。
大丈夫じゃない。
「綾香、綾香」と肩をトントンと叩かれた。
「ごめん、俺が球打った」
悠人がミットで私をつついてきた。
「綾香、そっち」
私は「ああ」と気の抜けた声で返事して移動する。
「もうちょっと綾香離れて」
悠人が距離を離すように指示してきた。
「取れる自信ないけど」
私はダラダラと後方に歩く。
ダラダラと。
仁さんたちの騒がしい盛り上がりをどこか気にしながら。
「あ、綾香危ない」
悠人の声がした。
「えっ」
私はどこから何が来るのか判断できずに、咄嗟に頭を抱えてしゃがみ込む。
と、次の瞬間右側からすごい勢いで突き飛ばされるように誰かとぶつかった。
吹っ飛ばされる胴体と、誰かの体の下敷きになってしまった右足。
全体重が私の右足を押しつぶしてきた瞬間、ぐきっと激痛が走る。
「ごめんっ」
すぐに声がした。
ゆっくり顔を上げると、仁さんとペアを組んでた龍平さんだった。
龍平さんがすぐに立ち上がる。
右足首が痛すぎてとっさに声が出ない。
お腹に力を入れて、右足をさすってさすって痛みを堪える。
「綾香、大丈夫?」
悠人が走ってきて私の表情を伺う。
大丈夫じゃない。
「綾香、綾香」と肩をトントンと叩かれた。
「ごめん、俺が球打った」



