恋愛アレルギー

今の言葉を何度も頭の中で繰り返すが、まるで現実味がなかった。


「愛美は元々可愛いから、メーク時間もほとんどかかってないんだよ」


「へぇ、そうなんだ」


船見くんはあたしの顔をジッと見てくる。


視線を合わせていられなくて、あたしは咲子へ視線を向けてしまった。


それなのに咲子は「じゃ、あたしはもう帰らないといけないから」と、さっさとあたしに背を向けて歩き出したのだ。


「あっ!」


咲子を引きとめようとしたが、言葉が続かなかった。


咲子が気を利かせてくれたのだとさすがのあたしにもわかったからだ。


仕方なくあたしは咲子を見送り、それから船見くんへ視線を戻した。


船見くんの頬は少しピンク色に染まっていて、なんだかかわいらしく見える。


「あのさ、日下部さんって映画に興味とかある?」


「映画?」


あたしは首をかしげた。


すると船見くんはポケットから2枚の映画のチケットを取り出したのだ。


「恋愛映画なんだけど、興味があったら一緒に行かない?」


船見君の声が少し震えていたようだけれど、それよりも映画に誘われたことのほうが驚きで、あたしはほとんど気がつかなかった。