そんな人気者を好きになってしまったことに今更ながら気がついて、胸には焦りの色が見え始めた。


今までは恋をすると死んでしまうと思って、そればかりを気にしていたけれど、今度からは恋のライバルたちを意識しないといけないんだ。


ひとつ壁を越えたかと思うと、目の前にまた壁が立ちはだかる。


恋ってあたしが思っていた以上に難しいものなのかもしれない。


「咲子、あたし頑張るから!」


あたしは自分の気分を盛り上げるため、拳を握り締めてそう言ったのだった。