「ジェラール陛下、お話があるのですが」
「相談?」

 ミレイナは早速自分のアイデアをジェラールに話した。
 ペットを飼うのを登録制にして、定期的な健康診断の義務化など、彼らがきちんと過ごせるサポートシステムを作ることだ。

「なるほど。それは、アリスタ国の仕組みか?」

 感心したように聞かれ、ミレイナは言葉を詰まらせる。アリスタ国にはこのシステムはなかった。これは、日本人だった前世の記憶から思いついたことだ。

「いいえ、違います。私の思いつきです」
「そうか。しかし、考えてみる価値はあるな。後でラルフに伝えよう」
「ありがとうございます」

 そのとき、さーっと穏やかな風が吹いた。心地よい風は優しく髪の毛を揺らす。

「テラスだと風が気持ちいいですね。開放感があります」

 いつもと違う雰囲気に、なんだか気持ちが浮き立つようだ。