「素晴らしいわ、お見事です。ミレイナさん、違いがわかるかしら? マリベルさんは体が揺れないし、背筋もピンと伸びているの。ミレイナさんは左右に揺れているわ」
「はい……」
言っていることはわかるのだけれど、体が付いていかない。
なかなか上手くできないことに、気が急くのを感じた。
目が合ったマリベルの口元がフッと緩む。
(今、バカにした?)
明らかな嘲笑の色に、ミレイナはムッとする。
けれど、馬鹿にされても文句を言えない自分の不甲斐なさに、気持ちが落ち込むのを感じた。
(後一ヶ月しかないのに、大丈夫かな……)