「え? 戻った?」

 驚いて思わず漏れた声も、きちんと言葉になっていることに気付く。

「ん……、ミレイナ?」

 ミレイナの動く気配と声に目を覚ましたジェラールが、名前を呼びながら手を伸ばす。
 そしてミレイナに触れたジェラールの目は、ぱちっと開いた。

「ミレイナ、戻ったのか!?」

 がばりと起き上がったジェラールは信じられないと言いたげに、片手で口元を覆う。

「はい。私にも何が起きたのかよくわからないのですが、元に戻ったみたいです」

ミレイナは上半身を起こし、自分の体を見下ろす。昨日ウサギ姿になる直前に着ていた白と水色のワンピースが目に入った。

 その瞬間、力強く抱きしめられた。

「ミレイナ、よかった。心配した」

 背に回った腕に、強く力が籠る。
 心なしかその腕は震えている気がした。