「も・ど・れ・な・い……。戻れない？　人間に戻れないのか？」

　その結果判明した思いもよらない訴えに、ジェラールは驚いた。

（どういうことだ？）

　と、そのときドアをノックする音がした。入室を許可すると、今日ミレイナを一緒に捜したウォルトを始めとする側近達だった。

「陛下、遅くなり申し訳ありませんでした」

　ウォルトが深々と頭を下げる。ジェラールは咄嗟に、手元のメモを執務机の上に裏返した。

「どういう状況だ？」
「あの場にいたふたりの男は捕らえております。あの屋敷も取り押さえており、明日以降部下達を投入して何が起こっていたかを調査させます」
「わかった。徹底的に調査しろ」
「かしこまりました。それと、沢山の魔獣が閉じ込められていたようなので、ひとまず魔獣舎に保護してもよろしいでしょうか？」
「ああ」

　ジェラールは頷く。
　その後も一通りの報告をし終えた側近達が、退室してゆく。
　ジェラールは一番後ろにいたラルフを呼び止めた。