「今日は主に礼儀作法の復習をしたのですが、まだまだ難しいです……」
「そうですか。普通は子供の頃から訓練しますからね。すぐにできなくても仕方がありません。昨日の歴史の講師は、とても物覚えがよいと褒めていましたよ」
「ありがとうございます」

 ミレイナはぺこりと頭を下げる。

 物覚えがよいのではなくて寝る間を惜しんで必死に覚えているのだけどね、とは口が裂けても言えない。

「では、参りましょう。陛下がお待ちです」
「あっ、はい!」

 ミレイナは慌てて立ち上がった。