「では誰なら相応しいと言う? お前の娘か? 俺にその話を言う奴らの共通点を教えてやろうか?」

 ジェラールはハッと鼻で笑う。

「皆、未婚で年頃の娘がいる」

 ブレンダンはサッと顔色を青くする。ジェラールの激しい怒りを感じ取ったようで、「失礼いたしました」と頭を下げた。

「私はこれで失礼します」

 ブレンダンが立ち去る足音を聞きながら、ジェラールははあっとため息をついた。
 先ほど怒りで立ち上がった氷柱が解け、足下の絨毯に濃いシミが広がっているのが見える。
 なぜだか無性に、ミレイナの笑顔が見たくなった。