「疲れた……」

 一連のレッスンが終わると、ミレイナは机に向かってぐでっと突っ伏す。

(うーん。記念祝賀会って、こんなに沢山のことを覚えないといけないの?)

 自分が無作法をして祝賀会を台無しにしては大変だから、しっかりと教わったことを覚えたい。
 けれど、想像していたよりはるかに分量が多かった。

 ジェラールの側近であるラルフから『祝賀会に参加するにあたり事前に礼儀作法の特訓を受けるように』と言われた際は、せいぜい数時間のレッスンを受けておしまいだと思っていた。
 けれど、蓋を開ければ想像を遥かに超えていた。毎日最低でも五、六時間、ミレイナはみっちりと講義を受けている。

(うう、きつい。でも、頑張らなきゃ……)

 ミレイナはむくりと起き上がると、自分に気合いを入れる。

とりあえず今日習った地理の復習をしようとノートを開きかけたそのとき、部屋のドアがノックされる音がした。