遅刻
(男性16歳、高校1年生)
学校に寝坊して30分遅刻した時の話です。
もう授業は始まっていて、廊下はしーんとしていました。
パタパタパタと僕の走る音だけが響きます。
教室は3階で1時間目は数学。
とても厳しい先生として有名でした。
なんと謝ろうか考えながら2階まで来た時、後ろからもパタパタパタと走る音が聞こえてきました。
お、もう一人遅刻した奴がいるなら、そんなに怒られなくてすむな。
そんなことを考えながら、振り返りました。
1階と2階の踊り場にボロボロの制服を着た女が立っていました。
長くくしゃくしゃとした黒髪の間からは赤い目が覗いていました。
僕は2段飛ばしで階段を駆け上がりました。
後ろの女も僕と同じように駆け出してきました。
登りながら、下を見ると女と僕の距離が縮まっています。
こけても良い勢いで、階段を駆け上がり、階段横の自分の教室に飛び込みました。
バタンとドアに手をかけて入り、教室に倒れ込みながら走った勢いが抜けず、床を滑りました。
先生もクラスの皆も呆然と僕を見ていました。
「何があった」
先生がぽつりと尋ねてきました。
僕は後ろを振り返って「女が……」と叫びましたが、そこには開いたドアがあるだけでした。
皆にどっと笑われました。
先生も
「迫真の遅刻の言い訳だな」
と怒らず笑っていました。
でも、僕は笑えませんでした。
先生に甘えるようにおぶさっている女が視えていたので。
(男性16歳、高校1年生)
学校に寝坊して30分遅刻した時の話です。
もう授業は始まっていて、廊下はしーんとしていました。
パタパタパタと僕の走る音だけが響きます。
教室は3階で1時間目は数学。
とても厳しい先生として有名でした。
なんと謝ろうか考えながら2階まで来た時、後ろからもパタパタパタと走る音が聞こえてきました。
お、もう一人遅刻した奴がいるなら、そんなに怒られなくてすむな。
そんなことを考えながら、振り返りました。
1階と2階の踊り場にボロボロの制服を着た女が立っていました。
長くくしゃくしゃとした黒髪の間からは赤い目が覗いていました。
僕は2段飛ばしで階段を駆け上がりました。
後ろの女も僕と同じように駆け出してきました。
登りながら、下を見ると女と僕の距離が縮まっています。
こけても良い勢いで、階段を駆け上がり、階段横の自分の教室に飛び込みました。
バタンとドアに手をかけて入り、教室に倒れ込みながら走った勢いが抜けず、床を滑りました。
先生もクラスの皆も呆然と僕を見ていました。
「何があった」
先生がぽつりと尋ねてきました。
僕は後ろを振り返って「女が……」と叫びましたが、そこには開いたドアがあるだけでした。
皆にどっと笑われました。
先生も
「迫真の遅刻の言い訳だな」
と怒らず笑っていました。
でも、僕は笑えませんでした。
先生に甘えるようにおぶさっている女が視えていたので。


