君じゃなきゃ。



先輩の初めて聞く事実に頭がいっぱいで、更衣室に入るとすっかり朝ご飯を食べ忘れたことさえ忘れていた。


そして健人にキスのことを叱るメールもせず、荷物だけ置いて自分の席へ行った。


先輩に……彼女いたんだ……。

彼女がいて当たり前だ。

わかっていて……なんでこんなに動揺するんだろう……。


先輩の彼女か……どんな人なんだろう……。


気にしてもどうしようもないのに、何故か気になる。


「先輩……聞いてもいいですか?」


気になる気持ちを抑えきれずに、まだ席に座っていない先輩にあたしは小声で話かけた。